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  • 敷居が高い老舗ばかりではありません。勇気を出してのれんをくぐってみてはどうでしょうか?
  • 敷居が高い老舗ばかりではありません。勇気を出してのれんをくぐってみてはどうでしょうか?

    私は58歳、現在事務員として働いています。歴史好きな私にとって京都はいつか定年後ゆっくり訪れたい場所でした。

    子供の通院の為2011年から現在まで京都通いは続いています。通院のため子供に京都に対して嫌な思いを抱かないように、観光と食にたいしては十二分の計画をたてて京都に行っています。

    京都観光の雑誌を買ったり、ネットで調べていろいろな料亭に冒険もかねて行くようにしています。冒険というのは、こちらは私と子供ですので、見栄えの良い立地条件の良い老舗は敷居が高い場所だからです。はじめは、旅行雑誌やホテルにあるパンフレットを見ながら夕飯のお店を探しました。とにかく経験と思い老舗にも足を運ぶようにしました。宿泊場所とショッピングを兼ねると、先斗町やその近辺での食事が増えるようになりました。

    ある時、先斗町から道路を挟んで鴨川と高瀬川の間の人通りの少ない、ちょっと女子供だけでは怖いような道に老舗がありました。こじんまりとしていながらも麻ののれんが風格を表しているように感じました。子供と二人の私には非常に勇気がいる敷居の高い物でした。食事の値段も気になるものでしたが、入ってみました。出迎えてくれたのは品の良い女将と、息子さんのような板前さんでした。

    カウンターと小上がりが二つ、二階は個室になっていると説明を受け、平日ということもあり、どこでもいいですよという話でした。私の子供は当時17歳でしたし、お酒も飲めませんでしたが、カウンター席に座り板前さんの料理作業を見ながら食事をすることが大好きでしたので、カウンター席をお願いし、夏でしたから「鱧の懐石料理」をお願いしました。私はお酒が好きですので、お勧めのお酒を伺いながら飲み始めました。すると、奥から店主であろう板前さん、若女将もでてきました。すると大女将は奥にいってしまいました。

    私的には娘が嫌な思いをしないで、楽しく料理工程を見ておいしくご飯が食べれればいいと思っていました。客数が少なかったからか、店主さんは魚の形の鱧を桶にいれて子供に見せてくれ料理について簡単に説明して作業にすすむ状況でした。

    京都弁で子供の顔見ながらでした。ひとつひとつの料理は上品でおいしく、素敵な器も、ゆっくりとした優しい雰囲気の時間もありがたい物でした。若女将が一つ一つの料理の配膳も子供に対し小さな一言をそえてくださり、いつもだったら、緊張尽くしの娘も笑顔をみせて、「おいしい、おいしい。」と喜んでいました。

    一見さんで女子供だけの私たちにカウンター席にいて窮屈な思いをしないように配慮してくださったのかは、わかりませんが、「当たり」と思ったお店でした。

    おいしい料理も、終りになったころには、私たちは静岡から定期的に来ていることや、鱧は静岡ではお店にない事、人生で初めての鱧だったことなど会話をしていました。

    お店も忙しくないことも手伝い、若女将と若い板前(若旦那さん)が小上がりに座り、京都の見どころや、娘にはどこのファッションビルが若い世代に人気など、京都に住む人しか知らない情報を話してくれていました。

    通院時の夜のお食事は娘の最大のご褒美でしたが、料亭の一般的な上品で失礼のない京都らしい対応とは別に、一見さんへの楽しい会話付きだったのが、老舗なのに、本当に意外な出来事でした。

    京都に通い始めて16年になりました。はじめの頃はアパートを借りて住んでいたり、2週間おき、4週間おきに通院していたものも、今は3ケ月に一回となりました。沢山の料亭、老舗を雑誌を見て通いましたが、自分で勇気をもって開拓した老舗の良し悪しは、私たちの基準であり、値段とは別に、また行ってみたい店になります。店構え、立地場所にもよるとは思いますが、老舗だから、店構えが素晴らしいから、敷居が高いわけではないと改めて感じました。ただ料理のすばらしさ、京都らしい品のある配慮に巡り合えたことは、あのさみしい道を探検してよかったと思っています。私たちにとって、素晴らしい出会いの老舗でした。2年に一回は今でも通っています。

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