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  • 株式会社 八代目儀兵衛

    訪問して知り得た情報、なるほどと感心したこと

    1.お米の価値の下落

    京都の中央卸売市場の南に七条通りが通っている。そこには市場で仕入れた新鮮な野菜 や果物などの生鮮食料品を一般の方に小売する商店が並んでいる。

    その中には昔ながらの精米機を使うお米屋さんも見られる。そのひとつが今回訪問させ ていただいた、株式会社八代目儀兵衛の本家となる。

    株式会社八代目義兵衛の代表取締役社長 橋本隆志氏はお米の価値がかなり下がってい ると感じていた。江戸時代まではお米はお金の代わり、大名の位を表す石高にも使用さ れていた。それが今はスーパーで花壇の肥料と同じように平積みで高く積み上げられ、 5kg1980 円の値札がつく。

    その消費量もパンにとって代わられ、子供や女性にご飯離れ が進む。日本の主食として長い間、食され続けてきたお米に危機が訪れていると感じて いた。

    そこでお米の復活を図らない限り、当社の歴史も途絶えてしまうのではと考えていた。 お米の価値を上げること、それにはお米に対する根本的な概念を変えなければならない と決心した。

    2.本当に甘いお米を、一人でも多くの人に届けたい

    お米の本当の美味しさをその甘みにあるという。そのおいしいお米を消費者はどのよう に選んでいるのだろうか。

    現状は産地銘柄でしか判断できない。しかし米屋に育ち、全国のコメを食べつくしてい た社長はこういう。「産地銘柄にとらわれず、味・香り・ツヤなどあらゆる条件を満たす もの」が本当においしい米である。そのことを伝えるためにお米屋としてできることは 1 何だろうと考えた。

    米屋の強みを考えるとその答えの糸口が見えてきた。

    ①目利き力

    京都のお米屋ならではであるが、昔から京都には全国の産地のコメが集まってきた。年 貢米の集積場になっていたためだ。

    細かな地域指定(旧市町村単位・集落単位)ができる目利き力

    ②精米技術

    少量ロットでの精米技術により、品質向上。美味しさが違う。

    ③ブレンド

    5ツ星お米マイスターの称号をとるブレンド力。年間3000回の試食検査。500回 以上のブレンド実験

    ここから社長の活動は加速を増していく。

    ①先ずお米を「つくる」から変えていく

    社長自ら率先して安心安全・美味しい米づく りを進める社会実験農業を開始。

    ・2011年より、京都府与謝郡与謝野町役場と無農薬農業事業を提携。

    ・立命館大学久保教授とのお米作りの共同研究

    ②お米の『買う・届ける』を変える

    日用品である「お米」に独自のストーリーを演出することで、「お米ギフト」を開発。お 米の楽しさや新しい可能性を発信。

    ・2007 年フォーマルギフト大賞受賞

    ・芸能人・モデル・プロサッカー選手・プロ野球選手などに愛用者多数。

    ③お米の「食べる」を変える

    ・当社のコンセプトを「体験」できるご飯のアンテナショップを京都祇園八坂神社前に て展開

    ・知恩院主催の食育イベント開催

    ・地方ローカル・全国テレビ放映多数

    これらの戦略には確固たる根拠があった。お米屋の先ほどの3つの強み(お米の目利き、 精米技術、ブレンド技術)を活かし、産地銘柄に頼らず美味しいお米を提供、量より質 を求めた独自の精米技術、それぞれのお米の特徴を活かし、それを合わせることで、お 米の食味を向上させることができると考えた。

    また親元から遠く離れて暮らす子供に、お米を送ることが良く見られた。自用だけでな くギフトとして人に贈るという文化を深掘りしていった。

    色々なお米を食べ比べすることで、自分の好みの美味しいお米を選んでもらう楽しさを 2 体験してもらう仕掛けを作った。

    ギフトにシフトすることで、ニッチの市場を形成し、ディスカウント不要の高付加価値 を可能とした。

    更にその販売チャネル(売り方)を WEB に絞った点も大きかった。

    八代目義兵衛=お米×ギフト×Web×京都 複数の要素を掛け合わせることで、他社が まねできない事業領域を確立した。

    3.商品開発のポイント

    ・コンセプト(軸)核となる考え方・思い
    ・ヒストリー(経緯)これまでの歴史や過程、秘話
    ・ストーリー(未来)この商品の使用法をお客様に提案
    ・ネーミング(共感)共感してもらいやすい名前
    以上の4つが売れるためのポイントである。

    ①ブレンド米のイメージを一変させる

    京都文化とは産地銘柄を意識せず「ほんまもん」のお米を厳選すること。 ブレンドを否定的なイメージから肯定的なものに変えていく。

    そこに京都の名料亭に使用してもらい、客観的評価をうけ、そのキャッチに 「京都の料亭を唸らせた」と表現し分かりやすくその品質の高さを打ち出した。

    ②値決め

    ギフト市場という新しい市場では一般の常識的な米の価格ではなく、祝いの半返しとい う独自の価格帯に合わせた。

    また少量(1合から3合)のコメを組み合わせることで食べ比べという体験型ギフトの 概念を構築した。ここでもコメという概念ではなくギフトとしての新しい価格帯が構築 できた。

    さらに包装にも京都らしさを演出して西陣織、桐箱・組み紐などを使用した。これらに よりお米が高級なギフトとして通用することを提案した。

    ③ネーミングのこだわり

    お米は元来めでたい時に使うという慣習を意識して、人と人との良縁を願うお祝いギフ トとして良縁米シリーズ「永久」と名付け、米を擬人化して男女のそれぞれの出身に合 わせた米をセットし花嫁花婿を演出した。

     お米がそれぞれもつ「オンリーワン」の個性を活かし料理用途別に12種類のお米を詰 め合わせた、十二単シリーズを提案した。ブレンド米を買ってもらえる仕組みの一環で あった。それぞれの包装に使った風呂敷の色のグラデーションにも気を使い、美しさを 打ち出した。

    ご飯のお供シリーズとして京都の味付けに合わせてご飯とともにおかずになるものを一 緒にセットした。これはお米の産地にも贈りやすくする効果があった。

    ④売り方

    お客様の期待を上回ることで、初めて共感・感動を生む。それには京都の「おもてなし 文化」を体感していただく。

    ・カスタマースタッフは正社員とし、当社の理念・考え方・おもてなしを徹底的に教育・ 浸透させた。

    ・「ここまでしてくれる」幅広いオプションサービスの実施。メッセージカードは一般的、 更に命名札・手紙・写真同梱サービス・選べる箱色などを用意した。

    デジタルな世界だからこそ、アナログを取り入ることが大事である。
    おもてなしを感じていただいている観光客は実際は50%のみである。だからこそ行動 でしっかりと提案していく。

    ・贈る文化の特徴は受け取る方がまた評価し、顧客になっていただけること。感動は贈 られた方に伝わり、その効果がリピーターとなって広がっていく。

    感動は「誰かに教えたい!」「見てほしい!」につながるのだ。

    そうした顧客、贈られた方の声をネットを通じて発信することがさらなる顧客創造につ ながる。

    とんがればとんがるほど、マスコミも取り上げてくれ、ますます知名度は上がっていく。

    ⑤ネットと実店舗 O2O 戦略

    当社八代目義兵衛の世界観を表現するリアルな場所として、「美味しいご飯」体験型アン テナショップ「京の米料亭」を開店。

    米・水・釜を究めたご飯を提供する。世界初!お米のフルコースを実現。

    【オンライン(ネット)の利点】
    ・キーワード戦略が可能(引出物・出産内祝い)
    ・セグメントした市場で一点突破が可能
    ・セグメントしたシーンでの口コミ

    【オフライン(店舗)の利点】
    ・より広い人に興味
    ・認知してもらうことが可能
    ・メディアに取材されやすい
    ・リアルでの口コミが発生

    ⑥顧客とつながるキーポイント

    ブランドの発信【ブランドの軸を作る】

    五感に訴える【お客様に五感で感じてもらえ るデザイン】

    体験【商品に納得してもらう 価値・ストーリーを伝える】

    共感【お 客様が商品・会社のコンセプトに共感】

    信頼【共感を重ねて信頼に「ここだから買い たい!」へ】

    安心【リピート 絶対的な安心感を育む】

    つながり【会社と親密なつ ながり お客様が勝手に会社を宣伝】

    最初へ ブランドの発信

    ⑦日本から世界へ

    ・Cool な日本食文化を Tokyo から世界へ伝えていく
    Tokyo 店舗(体験型店舗) お米の炊飯教室、
    新しいお米料理レシピコンテスト、
    親子でお米の甘さを体験してもらうおにぎり教室
    消費者がお米の日本一を決める「お米甲子園」を開催

    ・お米ギフトから日本食ギフトへ
    ベネッセから ANA ファーストクラスまでの幅広い層に対応した商品作り

    ・海外への店舗出店 (NY・台湾・上海・シンガポール)ハイエンド顧客を対象
    橋本社長からお話しいただいた中から100年企業になるための3つの仮説の実証検証に当たるものをピックアップさせていただきました。

    Ⅰ.残すべきものと変えるべきものを明確に区分する

    1.残すべきもの

    家訓「兄弟仲良く孝行を尽くす」家族経営を基本に兄弟とはビジネ スパートナーとして連携していくこと。心変えずに形を変えよ。

    2. 残すべきもの

    美味しいお米の味を提供したい。という思い。

    3.変えるべきもの

    お米の販売方法を贈答品としてネット販売としたこと。 美味しいお米の食べ方を伝える方法として米料亭を開店させたこと 。 時代に合わせて変化し続けて世の中に対応していく会社になる。

    Ⅱ.将来のビジョンを示し、その達成のために必要な人財をトップ自ら育てる

    1. 事業のビジョンを明確に伝える

    米文化ビジネスを世界へ発信していく。

    2. ビジョン達成のために必要な人財を自ら育てる

    経営者の役割はリーダーシップを 発揮することのみ。開拓者として行動し、社員が目指す人になる。常に新しいこと を考え続けていくこと。進化が必要。八代目儀兵衛の成長は従業員の成長である。

    社員にはお米マイスターとしての意識を持たせ、食味を毎日日報に書かせる。 厳しく教育し、厳しい言葉を浴びせている。その中で残る者を伸ばしていく。まっ すぐ上に伸びたものがほしい。センスの良い者を後継者にしたい。

    Ⅲ.売り手よし、買い手よし、世間もっとよし

    米の需要拡大はすなわち日本の価値を高めると考えている。

    以 上

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    この記事を書いた人
    京都100年企業
    林 勇作

    1965年8月28日生まれ
    大阪市出身

    今後の日本の中小企業の手本となる魅力ある強い企業体の創出に最大限の力を注ぎます。会員様と共に永続的な成長と発展を図り、会員様と共に幸せな人生を実現します。

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