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    ・株式会社伊と忠 伊藤社長の講演の中から、強く感じたこと、そこから得た今後の企業経営に役立つこと、今までの既成概念を打ち破ったことなど、そのエッセンスをまとめてみたい。

    ・株式会社 伊と忠 代表取締役 伊藤 忠弘氏の講演では次の4つの項目について、1時間余りお話いただいた。
    ①弊社の概要
    ②創作京履物伊と忠が100年続いているわけ
    ③カランコロン京都の挑戦
    ④伊と忠のこれから

    1.今回一番興味深く感じたことは、伊藤社長自身現在36歳でまだ社長になって数年ということだが、様々な事業に挑戦されている。

    そのこともすごいと思うが、それよりも驚いたことは、よくこのような社長にお話いただく講演では、結果うまくいった事業のノウハウについて具体的事例を交えてお話いただくことが多いにもかかわらず、伊藤社長は失敗談をいくつもお話しされた。

    更にその失敗から多くのことを学び、次の挑戦に活かしておられた。このことは大変印象深かった。

    一例を挙げると、創業以来続いていた創作履物の業界で、新しい現代的な感覚の店舗を出された。商品は変えずに店舗デザインをおしゃれに、若者受けするインテリアにした。京都の古き伝統と現代の雰囲気を合わせたミスマッチの妙を提案したものだった。これは一従業員の熱意から生まれたもので、伊藤社長はその意思を尊重した。(新しい芽は絶対潰さない というのが伊藤社長のポリシーである)

    しかしその店舗は1年もたなかった。お客様の支持を得られず、閉鎖となった。
    伊藤社長曰く、
    「ひとは既成概念と結びつかないわかりにくいモノは受け入れない」
    そのことに気づいた伊藤社長はコンセプトと商品の一体化、分かりやすい主張を心掛ける。

    また、和雑貨の店カランコロン京都がうまく軌道に乗り、店舗拡大が相次いだときのこと、

    多店舗拡大・新事業開発のワナ・拡散のリスクにより2度目の失敗を経験する。

    店舗拡大に商品や従業員が追いつかず、完全にバランスを崩した。不採算店舗が出始めたのだ。

    勢いのある企業には各地の商業施設からオファーがかかる。立地、顧客層、地域風土をよく考えずに出店すると、うまくいった店と同じようにやっても、全く効果が上がらないことも多い。また急拡大するとこちらのように商品供給が追いつかず、欠品を出したり、人材補充や教育がままならず、本来の持ち味である老舗のよさ(接客にあると伊藤社長は言う)が出ずに、信用を失ったりする危険性もある。

    伊藤社長はこの失敗により、次の点に気づかれた。
    「ハードとソフトのバランス、得意分野にフォーカスする」と。

    2.老舗の企業を調べていると、かたくなに自社の領域を守ろうとしすぎるが故に、これまでと同じ商品・売り方・顧客層などに固執する傾向がある。

    和装業界もその例に習い、なんとか和装を再度一般に広め、和装の顧客層拡大を図ろうとする。伊藤社長はこれに異議を唱える。和装業界を取り巻く外部環境は非常に厳しい。「時代背景・市場環境は企業努力で変えられるものではない」外部要因に逆らわず、和装は非日常的なものと割り切る。
    そこから次の発想が湧いてくるのである。

    ただ発想の限界もあるという。自社の中だけでのアイデアでは行き詰まる。伊藤社長は大胆に外部ブレーンの活用を決める。特にデザインマーケティングは効果的であるという。

    和雑貨カランコロンの再出発は有名デザイン会社へのオファーから始まった。ハイレベルなアートディレクションにより、表現したい京都のエッセンスが、ロゴ・包装材・店舗デザイン等にしっかりと落とし込まれ、ブランドとしての輪郭が出来上がった。
    ここからカランコロン京都の快進撃が始まった。

    3.ここで老舗ならではのブランドについて、お話いただいた部分に触れようと思う。

    「ブランドは技や商品からのみできるものではない。店頭での接客・おもてなしが創る」
    伊藤社長の言葉には先代からの教え、家訓からくるものもあろうが、自身で新規事業を立ち上げられ、そこで感じられたものがこの言葉の出どころではないかと思う。

    経営理念は組織においてその方向性を一本化するためには非常に重要なものであるが、後継者がその言葉をそのまま吸収できるわけではなく、自分自身が体験し、失敗し、初めて理解・吸収
    するものだと思う。その意味で伊藤社長はその本質を捉えられているように思われる。

    そしてブランドとは「商品が幅広いお客様に渡ってもぶれることはない。」という効果を持つと話された。 実に奥深い。

    4.最後に残すべきものと変えなければならないものについて、お話になった部分に触れる。

    時代は効率化・合理化によりコストを削減し、少しでも利益を上げるための施策をトップ自ら陣頭指揮に立って激を飛ばしている。それも国際競争力を失いかけている日本経済をみれば致し方ないことかもしれない。

    しかし伊藤社長は言う。
    「伝統にちょっかいを出してはいけない」
    「現場の従業員とお客様とのタッチポイントは非効率でも変えない」と言い切る。

    先ほども出たが、ブランドは「店頭での接客・おもてなしが創る」とあったようにここは伊と忠の最も大事にすべきところであり、たとえ非効率であったとしても残していかなければならない部分である。

    逆に変えるべきことは、先程も触れたように、時代の流れ、外部環境の変化にうまく沿うように変えていくものがある。具体的には商品であったり、店舗デザインであったり、売り方自体であろう。

    伊藤社長曰く、
    「お客様が見えない部分で、例えば商品管理手法:在庫管理・生産管理は企業を守るためにも変えなければならないものである。」

    講演のあと質問も出て、予定時間を20分程度超過して終了した。話を聞いていただいたお客様自身それぞれに感じるところがあったようだ。

    それは、その後のディスカッションでテーマとした
    ①変えるべきもの、残すべきもの
    ②社長が掲げるべきビジョン
    について、伊藤社長のお話から得られた教訓が各人の頭にうまく吸収されて、発言のなかにも取り入れられていたことからよく分かった。

    今回の企業訪問もまた大変得るところの多いものであった。

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    この記事を書いた人
    京都100年企業
    林 勇作

    1965年8月28日生まれ
    大阪市出身

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