京都は春の桜のシーズンと秋の紅葉のシーズンが人気の観光地であります。その理由として、一つには京都は四方を山に囲まれた盆地であり、いわゆる盆地気候と言われる通り、夏はとても暑く、冬は非常に寒い街です。
しかしながら、夏は夏の楽しみがあり、冬には冬ならではの見所があるのも京都の良いところではないでしょうか。
七年前の冬に、喜寿を迎えた母と二人で京都観光を行いました。ちょうど雪が積もるとの天気予報が出されたので、神戸に住んでいた母を呼び出し、京都駅で待ち合わせて京都のプチ観光を行いました。当日は予報通りに京都の町も10センチ強の積雪となっておりました。待ち合わせた9時半過ぎには、道路の雪はあらかた溶け出していましたが、道の脇にはまだしっかりと積雪が残っていました。この日を選んだのは雪の被った金閣寺をお参りするのが最大の目的でした。
京都駅からタクシーで金閣寺に向かい、開門を待っていよいよ金閣寺へ、私も母も初めての体験でありましたが、周りの雪景色にしっかりと雪を被った金閣寺のたたずまいは、言い表すことの出来ない感動の光景でした。しばらくの間二人で一言も発せず眺め続けていました。写真で見ることがあるかも知れませんが、実際に見る雪の金閣寺は一見に値するものではないかと思います。
この日の2つ目の目的である、祖母の墓参りに向かうため、西本願寺に移動しまして、ここから墓苑に無料の定期バスが出ているとのことでしたから、これを利用して墓苑に移動することにしました。バスの発車までしばらく待ち時間がありましたので、歩いてすぐ近くにある京都の老舗の漬物屋であります西利本店に伺いました。
京都は多くの漬物屋があることでも有名ですが、この西利はその中でも種類も多く、季節ごとにこだわりのお漬物を販売するお勧めの老舗だと感じています。ちなみに京都駅のキヨスクや伊丹空港の売店でも売れ筋のものが販売されております。味見をしながら妻と娘の好きな、「むらさきの」と言われる赤柴と青芝のお漬物を購入しました。母には千枚漬けをプレゼントし、バス停に戻りました。
墓参を終わらせて、最後の目的が、この寒い京都で温まる湯豆腐を食べることです。京都で湯豆腐といえば南禅寺ではないでしょうか。こだわりの国内産の大豆を使った豆腐の味もさることながら、なんと言ってもしっとりとして濃厚な汲み上げ湯葉の味わいは、絶品といっても過言ではないと思います。しっかりと体も温まり、若干の強行軍であったため、疲れたとの母の言もあり、本日のプチ観光を終了し、京都駅まで見送りに行きました。
父も他界し、久しぶりの息子とのプチ観光が殊のほか楽しかったようで、あと何回親孝行が出来るかは分からないが、また誘ってみようと思いました。
ここからは妻と娘と過ごした真夏の京都の味わいですが、京都の夏の風物詩といえば、鴨川沿いに並ぶ川床(かわどこ)が代表的ではないでしょうか。川のせせらぎの音を聞き、川の上に張り出しているという涼味を感じながら食事をする。風鈴の音で風を感じ、涼を味わうという日本人ならではの感覚というのは素晴らしいとは思いますが、実際には暑さをそれほど和らげられるわけでもなく、そごで夏の京都の夏の料理の代表であるハモのしゃぶしゃぶを食すなど我慢大会とも思える光景ではないかと思わされます。
しかし、京都には床(ゆか)と呼ばれるものがあります。こちらは京都のやや北部位置します貴船の納涼床であります。川床と比べて若干お値段も高くはなりますが、一度体験して頂きたいスポットです。予約をしておきますと、巡回の無料送迎バスが町中から出ていまして、少人数でも利用できます。ここの床は鴨川沿いに見られる川面から高く汲み上げられた川床ではなく、川面から数十センチのところに床が張られており、隙間から川の流れが見え、ひんやりとした涼が味わえます。
この上で京料理が堪能できるのですが、夏の装いで出かけると、寒さで震えるほどですので、長袖のジャケットなどを用意しておく必要があります。今回は妻と娘は昼間、清水寺の近くにあります京玉堂でオリジナルストーンのブレスレット作成に行き、夕方4時に京都市役所前で待ち合わせ、寺町商店街をぶらつき、鳩居堂で和の便せんやはがきを物色し、土産物屋で扇子を購入し、本能寺(現在は寺町御池の入り口に移転したのだそうである)の宝物殿を見学した後に、京都市役所近くからでる巡回のマイクロバスで夜のコース料理を頂きに行きましたが、昼のソーメンを中心としたプチコースも人気があります。真夏の京都とは思えぬ涼が味わえる貴船は一度訪れていただきたい場所です。