京都老舗で「ほっこり」京料理をいただこう！たん熊本店

私は、46歳の主婦です。三重で生まれ、大学進学を機に1990年に京都に移り住み、もう28年になります。大学卒業後は、京都で就職を致しましたが、同僚と結婚をし退社、3人の男の子に恵まれ平凡に暮らしております。

12月中旬に義母の法事があり、その際に訪れたお店をご紹介させて頂きたいと思います。

我が家では、子どものお宮参りの後は祇園界隈の料亭でお昼を頂くのが行事になっているようでした。

ちょうど、二男のお宮参りの帰りにお食事に寄ったのが「たん熊本店」でした。事前に「お宮参りのお祝いです」と伝えておけば特別にお膳をご用意いただけました。

義母も私が二男をお腹に宿した頃、体調を崩しており食事制限があったのでお店にご相談すると丁寧にお聞きくださり、素晴らしいお料理をご提供頂きお祝いができました。しかし、それから半年後、義母は他界してしまいました。

話を戻し、法事の準備をしている時に、偶然懐かしく楽しかった思い出のある木屋町のたん熊さんの前を通りました。主人もお宮参りの思い出が蘇り、義母の喜んだ顔を思い出し法事の後の「お斎」をさせて頂けないかとご相談をさせて頂きました。
偶然にも、お部屋が空いており快く予約を入れて頂きました。また、過去に当店をご利用いただいた事はありますかとお聞き頂いたので18年も前のお宮参りのお話をさせて頂きました。お店の方も、「当店をお選び頂き感謝いたします。当日は、出来る限り故人を思いご接待させて頂きます。」との心温まるお言葉を頂きました。その後も、お料理の内容などで何度かご連絡をさせて頂き丁寧なご接客を頂きました。

法事当日は、ご住職と親戚一同で来店をさせて頂きました。すると、鴨川を見渡せる2階の素敵なお部屋にご案内いただきました。記憶にあるお部屋です。なんと、お宮参りのお祝いをしたお部屋でした。そして、女将様から「覚えていらっしゃったらで結構ですので、お母様がお座りになっていた場所はお覚えですか？」と。
懐かしい思い出だったので、事前にアルバムを観ていたので「このあたりです！」と私は言いました。すると、わざわざ席を作り直し母の席をご用意いただけました。宗派・しきたりではなく、お料理のご相談をしている時に「大きくなった息子達を見せたかった」と言ったことを覚えて頂いていたようでした。
会は、母の思い出話で盛り上がり、義父もとても喜んでくれました。

本来なら、精進料理をお願いするものでしょうが、義父のたっての希望で普通のお料理をお願いいたしました。ふぐにすっぽんの豪華なお料理が次から次に運ばれてきました。どのお料理も、手の込んだ品々でした。でも、職人さんのひと工夫で法事に相応しいようにアレンジいただいておりました。一緒にお斎にご参加頂いたご住職も感心されていました。

女将様にお聞きすると、跡取りの息子様がソムリエのお資格をお取りになったとの事でした。また、世界中の方々にたん熊の味を頂いてほしいとの事で「ハラール」対応の京料理も用意されているそうです。

どの方にも気持ちよく、そして美味しく堪能して帰って頂けるような工夫や気遣いがみられました。
義父や叔母等は、ひざが悪いので和室であるのにテーブル席にして頂けるご配慮もありました。感謝しかありません。

これこそ京都の「おもてなし」だと思いました。
私ども、いつも料亭を利用できるような家庭ではありません。しかし、晴れの日には奮発して料亭でお食事もしたいと思っています。その庶民の晴れの日を大切にして頂くたん熊さんは素晴らしいお店ではないでしょうか。皆様にご紹介したい名店だと思います。
我が家では、今後の晴れの日は「たん熊本店」を利用するようにします。