一元さんお断りの祇園のお茶屋さん福嶋で舞妓さんと芸妓さんの体験記

私は仕事で2年間京都に単身赴任をしておりました。その時に京都の祇園のお茶屋さんに何度か通い、舞妓さんや芸妓さんとのささやかな一時を体験することが出来ました。

最初は当然一元さんお断りの最たるものの一つがお茶屋さんで、紹介者がいないと店には入れていただけません。たまたま知り合いに連れて行っていただけたのがきっかけで店に入ることができました。その時にこのシステムについて教えて頂くこととなりました。このようなお店では、その場でその日の支払いはご法度となっており、後日請求書が送られてきます。このシステムはよくできたもので、紹介者が、紹介をした方の料金を支払うというものです。店にとってはどこの誰かもわからない方からは支払ってもらえない可能性があります。紹介者はその方を信頼して連れてきたのだから、料金はあなたがその方から貰いなさいというものです。悪い言い方をすれば、店は取りっぱぐれがないと言うことになります。

一度紹介を受ければ、次回からは一人でも行けるようになります。私が紹介を受けて時々訪れたお茶屋さんは、祇園の福嶋というお店ですが、お庭を通ってお店に入るのですが、非常に良いお庭で、店の中からも一望できます。特に一度、雪の積もった日にお邪魔した時のすばらしさには感動を覚えたほどでした。お店は通常はスナック形式で営業をされており、料金も意外と低料金で、１人７０００円から８０００円程度ですからサラリーマンの私でもたまには伺うことができます。但し、フルーツが出ますと終了を意味しますので、それ以上居座りますと追加料金となります。

火曜日と木曜日は舞妓さんデーとなっており、定期的に短時間ですが、舞妓が客の話し相手をしてくれます。舞妓は基本２０歳未満ですから、お酒は飲みません（ちなみに舞妓さんは２０歳くらいまでで、それ以降は髪を切ってかつらに代えて芸妓になります）。この頃は舞妓さんは１人だけでしたが、もう一人舞妓の修行をしていた方がデビューしていると思います。ただ、悲しいことに、京都出身の舞妓さんはほとんどおらず、舞妓にあこがれて地方から京都に来た娘さんが大半を占めているとのことです。

しばらく通い、信頼されてきますと、紹介ができるようになります。また、舞妓さんからの芸の発表を見に来てほしいなどのお誘いを受けるようにもなります。残念ながら仕事と重なり、見に行くことはかないませんでしたが、京都中の舞妓さんのお祭りは一度は見に行きたいものです。舞妓さんは京都の大切な文化であるとして、京都の町をあげて大切に育てているのだそうです。

さらに別棟にはお座敷もあり、おかみさんに日程や何人の舞妓さんや芸妓さんを用意するか、料理や予算と相談して遊ぶこともできますが、さすがに一介のサラリーマンには手の出ない領域です。お願いをすれば地方への出張も受けて頂けます。実は舞妓さんは地方への旅行がしたくてウズウズしていると聞かされたことがあります。ただし、おかみさん・髪結い・世話役の方々ももれなく付いて来られますので、非常に高額なお支払いを余儀なくされます。比較的近隣の県にお住まいで時々行けるような方でないと、このような遊びは難しいかもしれませんが、行きつけの料理屋さんをつくって、紹介してもらうなどの方法はいくらでもあると思います。

京都では、住んで馴染むのは非常に敷居が高いのですが、観光旅行者には非常に優しく接して頂ける都市であると思います。桜や紅葉の時期の京都はもちろん素晴らしいのですが、少し観光客の少ない時期をねらって（特に京都のホテルは春と秋には通常料金の４倍と高騰しますから、大阪のホテルに泊まって京都の夜を楽しむのも一つの方法です）、京都のお店の中を楽しんで体験してみるのも良いのではないでしょうか？より深い京都を堪能できると思います。
現在は熊本在住ですが、また機会があれば伺いたいと思っております。