沖縄に住んでいる50代の主婦です。京都へプライベートで旅行したのは1986年、当時は東京に住んでいて卒業記念旅行で女友達と2人で訪れました。
老舗の和食器のお店でした。モダンな感じでディスプレイされていました。
女友達と2人で京都を訪れました。フリープランだったので、2人の行きたいところへ行く、あまり計画に縛られない気ままな旅行でした。
お寺を見物して、次の目的地へ向かうためにバス停に行きました。時刻表を見ると次のバスまで少し時間がありました。
ふと見るとバス停の側に和食器のお店がありました。老舗のお店だったのですが、和風モダンと言ったディスプレイだったので、ちょっと入ってみることにしました。
博物館にありそうな焼物ではなく、普段でも使えそうな和食器のお店でした。1点物が多く、ひとつひとつ丁寧に作られていることがわかります。
どれも素敵なのですが、就職前の私たちにはあまりお小遣いもありませんでした。欲しいけれども、持って帰るには難しそうです。割れてしまいそうで。
すると、友人が箸置きに目を止めました。丸い白い陶器に藍色で花などの絵が描かれています。
私は葉が描かれているものを手に取りました。友人は「桜の模様はないかな?」と言って、店員さんに聞いています。
すると、店員さんが探してくれました。店員さんが見せてくれた箸置きは白い陶器に藍色で桜の花びらが描かれていて、とても美しいものでした。
私もその美しさに魅了され、もうひとつ探してもらいました。
家では箸置きを使っていませんでしたが、私は食事をする時に箸をテーブルに直に置くのに抵抗があったのです。
お茶碗にのせてしまうのは本当はマナー違反です。直に置くと汚れてしまいます。
箸置きは全ての問題を解決する私にぴったりのアイテムだったのです。
小さいので、割れる心配もありませんし、スーツケースにも入ります。
お土産にぴったりなものであるとこの時に気がつきました。
私は京都の老舗の和食器店で見つけた桜の箸置きをきっかけに、箸置きを集めるようになりました。
素材もいろいろありますし、色も形も自由でとても楽しいです。
誰かにお土産としてプレゼントしても喜ばれるので、ますます箸置きを集めるようになりました。
1個数百円の箸置きを1つずつ購入しただけなのに、包む間にどうぞと店員さんはお茶を入れてくれました。
可愛らしい巾着袋に箸置きを丁寧に包んで入れてくれました。巾着もお店の雰囲気とぴったりの和風柄でした。
友人と私はすっかりうれしくなってしまい、店員さんと話し込んでしまいました。
店員さんのとても自然な接客におもてなしとは、こういうことを言うんだなと感激しました。
次の目的地のこともバスの時間も忘れて、すっかり話し込んでしまいました。
この時にこちらのお店は老舗の和食器やさんだけど、和風モダンにディスプレイしていることを聞きました。
作家の作品が多いそうです。普段から良いものを使って欲しいので、そのようなディスプレイなのだそうです。
京都の老舗のお店と聞くと敷居が高くて入りにくい感じがしますが、そういうお店ばかりではないとわかりました。
専門店風な店構えにしてしまうと、専門家しか訪れなくなってしまうので、誰もが入れるようなお店にしているとのことでした。
低価格の買い物でもお茶を入れてくれて、観光情報も教えてくれるなど、接客に心がこもっていることが伝わってきました。
「老舗でございます」と構えてしまうとお客様の間口をせばめてしまうので、「実は老舗」と言ったスタイルを取るお店もあるのだなと気がつきました。
京都の人は本音をなかなか言わないとか、柔らかそうな口ぶりできついことを言うなどと言われていますが、そんなお店ばかりではなく、
自然な接客こそがおもてなしなのだと感じました。