私は現在飲食店で働いている27歳です。日本料理も提供するお店なので、勉強のために日本各地の色々な老舗と呼ばれる場所に食事しに行く事が趣味でもあります。
特に京都は職業柄、自分にとってたくさんの影響を与えてくれる特別な場所です。歴史もあって土地柄も良く、何より料理の奥深さが魅力的です。2016年、誕生日間近の6月に、自分へのご褒美にと京都に単独旅行に行きました。
情緒ある花見小路通りの街並みや少しだけ軽食などを楽しみ、数多くのお土産を選んでいると気がつけばお昼時。今回は、料亭や旅館料理、金額の高価なコース料理目的ではなく、観光客の方はもちろん、舞妓さん、地元の方も愛してやまないというある料理を目的に老舗と呼ばれているお店を調べ、足を運んでみました。
お店の前に着くと、控えめな落ち着きある店構え。少し緊張が解けて割と気楽に暖簾をくぐることができました。やはり、調べればすぐ名前が出てくる有名店。お昼時だったのもあるでしょうが、お客さんの入りも良かったかなと覚えています。ですがその後は驚きの連続です。
まず、席に案内してくださった従業員さんが外国の方。それでサービスがよければ私はあまり気にしなかったのですが、愛想も良いとは言えず、日本語は聞き取れないカタコトで案内の仕方も雑。清潔感のない服装。もう少し雰囲気を期待していたのですが、まぁ、私自身の勝手な期待でしたので、この程度では特に気にはとめませんでした。もちろん、そんな事だけでは終わりません。もっと驚いた事がありました。
厨房のスタッフさんだと思いますが、忙しい時は客室の方にも顔をだしているようで、私の注文を取りに来てくれました。2人ほど顔を合わせるタイミングがありましたが、なんと、どちらも腕から首までタトゥーだらけ。そして言葉使いは敬語ではありましたが乱暴。何かわけありな方達なんじゃないだろうか…?と少し恐怖を感じてしまいました。
私以外のお客さんもこそこそとその事について話をしているのが聞こえ、私だけではなくやはりみんな同じ事を考えているのかと感じました。少し時間が経って料理がテーブルに運ばれてきました。これだけは頼む…と当たり前の期待をしましたが、結果は私を大きく裏切りました。とにかく味が濃くしょっぱい。美味しいかどうかを判断するには少し厳しい味の濃さで、食べきるのが少し辛かったです。これは本当に残念でした。
お店の外見からは想像もつかないはちゃめちゃぶりで、外に出てから少し思い出し笑いをしてしまうほどでした。京都に旅行にきて、食事関係の有名所で失敗した時はほぼ無かったので、この時の経験は少しショックが大きかったです。と、同時に、ある意味こういうサービスを提供されてしまった時のお客様の感情を理解することができたので、とても勉強にはなりました。
京都は素晴らしい、素敵な場所である、というイメージは変わりません。ですが、全国どこもそうだと思いますけど、料理を提供するお店というものは当たり外れというものは少なからず存在します。雰囲気と日本的センスのいい場所なだけにイメージばかり良いように膨らませてしまうと上記のような事があった時に残念な気持ちが大きくなってしまうかもしれません。ですが、自分が体験、経験してみたいという事を単純に考え、それを目的にして、どんな経験をしても京都を楽しめたなと思えるようなスタンスでいればとっても楽しい老舗体験になるはずです。もう二度とあのお店に足を運ぶことは無いとは思いますが、また期待に胸を膨らませ、京都の色々な種類の老舗に足を運んで、自分だけの特別な思い出を作っていきたいと思っております。