私は31歳の教師です。2014年に京都の旅館に泊まりました。目的は、学会に出席するための宿泊です。
歴史のある旅館で、お婆さんの女将さんが経営していました。
一人で京都で宿泊するのは初めてでしたが、さすが京都の旅館だと感じました。
こじんまりとした旅館で、女一人で旅行することに緊張していたのですが、女将さんが快く迎えてくださいました。
女将さんとお手伝いさんだけで経営している本当に小さな旅館で、どうも女将さんは腰の具合も悪いようだったのですが、腰が曲がりながらも、辛そうな態度は全く見せずに、快く対応してくださいました。
布団の準備などに時間がかかるようで、別室で待っていなければならない時間があったのですが、冷えた麦茶とお菓子を出してくださり、穏やかな気持ちで待っていることができました。
京都というと、気取った感じで、一見さんお断りなのかと思っていましたが、その旅館はアットホームで、全然意地悪なことがありませんでした。
大学が近くにあり、学生やバックパッカーなど若い人が泊まりに来ることが多いせいかもしれません。
その日は特に他のお客さんがおらず、貸し切りで施設全体を使うことができました。
変則的に夜遅くにお風呂を使わせていただいたのですが、気持ちよく使わせてくださいました。
古い旅館というと怖いのではないかという印象もありましたが、清潔にしてあったので、怖くありませんでした。
食事もご用意していただくことになっていたのですが、女性一人だからと手を抜くことなく、手作り感あふれるおいしい料理を出してくださいました。
座敷に一人で食べることになったのですが、気持ちよくおもてなししてくださり、女性ひとりだからといって手を抜いている感じは全くありませんでした。
食事つきにしてはかなりお安く泊まったのですが、鯛の煮つけなど手の込んだ料理を惜しみなく振る舞ってくださいました。
おひつのごはんもたっぷり炊いてあり、おかわり自由だったので安心してたくさん食べられました。
特に、さすが京都の旅館だと思ったのは、私が学会の準備などでバタバタしていることを察してくださったようで、程よく話しかけてくださり、
そして程よく放っておいてくださった点に居心地の良さを感じたことです。
よく女将さんが話しかけてきたり、詮索してくるような旅館があると聞いていたので、そういう旅館だったら面倒くさいと思っていたのですが、用事があるときは声をかけると快く対応してくださいましたし、何もないときはそっとしておいてくださったのがとても良いと思いました。
学会が無事終わってから、女将さんに話しかけてみると、いろいろ気さくに話をしてくださいました。
旅館の中にいろいろと女将さんが趣味で集めたものが飾ってあったので、そうしたものについて尋ねてみると、面白い話をたくさん聞かせてくださいました。
決してべらべらとうるさいわけではなく、こちらから話かけたり質問したことについて丁寧に教えてくれる感じだったので、全然嫌な感じはしませんでした。
聞くところによると、以前は旦那さんと一緒に経営をしていたそうなのですが、旦那さんが亡くなり、おひとりでオーナーをしていらっしゃるということでした。
腰もお悪いようなのに、疲れたところを全然見せず、まるで自分の祖母の家にいるかのようなリラックスした空間を作り出しているところに、京都の素晴らしさを感じました。
京都の女将さんというと、お高く留まっているものではないかと勘違いしていましたが、とても繊細で心あたたかな交流をさせてもらったので、気分よく過ごせました。
帰りも、明朗会計で、もともと予約していた以上のお金がかかることもなかったので、財布にも優しかったです。また行きたいです。